はじめてのチェンナイ 9日目(終)
チェンナイを発つ日の朝、長時間フライトに備えてゆっくりめにシャワーを浴びました。バスルームの樟脳ボール(ミルキーみたいな虫除けが洗面台とかシャワーブースの排水口に置いてある)の匂い、初日は正直ウッてなったけど今やすっかり馴染んだ匂いになったなぁ。身支度をして荷物を詰めて、最後に忘れ物を確認してフロントでチェックアウト。チェックインのときと同じ人が対応してくれました。来たときよりフレンドリーにお礼とお別れの挨拶ができてよかった。
Uberで呼んだタクシーに乗り込むと、瞬間急に涙がめちゃくちゃ溢れてきてびっくりしました。一週間強の滞在がずっと楽しくて、自分が思っていたよりチェンナイが好きになっていて、思っていたより帰りたくなくて、でも目の前の車窓の景色は流れて、そこには変わらずチェンナイの愛おしい日常があって、ただただ名残惜しくて、それだけの気持ちでめちゃくちゃ泣いてしまった。本当にびっくりした。ドライバーさんも心配してくれて「大丈夫?」と声をかけてくれて、「チェンナイを発つのがすでに寂しくてわけわからん涙がめちゃ出ます😭」と答えると「また来たらいいよ」となんでもないことみたいに返してくれて、それにもまた泣いてしまった。それはそう、また来たらいい。なんでもないことだよ。でも涙が止まらないんだよ……
そして空港に到着。
観光名所とかお寺とかいっこも行かなかったなぁ……。今回の目的は映画を見ることだったので仕方ないといえば仕方ないけど、一度はお参りしてみたいです。また来たらいい。
保安検査でトレイに電子機器を出したとき、係の人がおもむろに私のスマホをつついてロック画面を光らせて「ヴィジャイ……??」と呟いたと思ったら、別の係の人をわざわざ呼んできて2人がかりでヴィジャイ……ヴィジャイ……とニヤニヤされておもしろかったです。人のスマホ勝手につつくな。
搭乗ゲートまでは耐えたけど着席したらまた涙が込み上げてきてしまってダメでした。尻に滂沱スイッチがあるとしか思えない。
ありがとうチェンナイ。また来るよ。
涙でしょっぱい機内食(おいしかった)を食べて、気絶するように寝落ち、気がつくともう経由地のクアラルンプールでした。にじむ夕焼け。
シャトルバスでターミナルを移動し、時間を潰します。ストリートピアノがあって、ピアノとクラリネット?のめちゃうまプレイヤーが演奏していた。
ホットチョコレートを飲んでぼーっとしていると日本語が聞こえてくる。タミル語もまだ聞こえてる。
上空から見る夜のKLきれいだな。
夜食と朝食。KLから成田へはJALとのコードシェア便で、機内アナウンスはもう日本語でした。
燃えるような朝焼け、昇る朝日、旅の終わり。
私はぼんやりしているので、初めてのインドで完全個人手配のソロ旅ということを主に友人からかなり心配されていたのですが(ありがとう)、危ない目にも遭うことなく、いろいろな人のやさしさのおかげで無事に帰ってこられました。しょうみ外国人だからちやほやしてもらえた部分もかなりあると思うけど、この日本人タミル語チョットワカル人だ!とわかった瞬間のタミルの人の笑顔と、あたたかく迎え入れてくれる感じが何とも言えない幸せだったので、日和らずにコンジョンテリユンbotになってよかったと思いました。まだ一度来ただけで、ほんの少ししかチェンナイのこと、タミルのこと、インドのこと知らないけど、もっとわかりたいと思った。好きだと思った。今さらだけど私は高温多湿が苦手だし人混みも喧騒も無理なタイプで、マジでなんでインド行ったんですか?という感じなんですが、欲望に正直にやりたいことやれて本当によかったなと思います。今回は「映画を見る」というひとつの目的のためだけにチェンナイに行ったけど、次は「チェンナイを知る」を目的に追加しよう。
不意に「ここではないどこか」へ行きたくなったり、家にいるのにあてどもなく「帰りたい」と思ったりしたことってないですか。私はよくあるんですが、私にとっての「どこか」のひとつはきっとチェンナイだったのだと思います。(昔アイルランドのダブリンに行ったときも似たような気持ちになったことがある)ずっと夢を見てるみたいだったけど全部現実だし物語はまだ続いてるし、私はこれからも「どこか」を求めていろんな景色を見に行くと思います。ヴィジャイさん私をチェンナイにぶっ飛ばしてくれて本当にありがとうございました。
帰国した日の夜にスペボさんの自主上映を見に行くオタク